この日、私は芽生えた“好き”という感情を無理矢理打ち消そうと誓った。
『自分の心に嘘をついちゃだめ。どんなことがあったって、一緒に乗り越えて、希美を一番に愛してくれる人と進んでいきなさい。』
そう、時々ママは言う。
必ず最後に、ママとパパみたいにね。と付け加えて。
パパとママがどんな恋をしてきたなんてわからないけど、幸せそうなパパとママを見ていると、素敵な恋をしてきたんだなって、わかる気がする…
でももうこの日、ママが言っていたことを見事に破ってしまった。
だって相手が先生で時期社長で、仮にも暴走族の総長。手に届くはずがない。
もう吹っ切れた。呆気ない恋で終わった。気持ちすら伝えてないけど、そんな勇気は今の私にはない。
短い恋だったけど、
もう…終わりにしよう…

