彼、榊原奏の第一声がそれだった。
でもそんな言葉より私は榊原先生の出すオーラと眼鏡の奥の鋭くきれいな瞳に目が釘付けになった。
な…何…この人………
なんか違う……普通の人となんか…
「おい、聞いてる?」
「は、はい!えっと秋山です。」
そう言うと、榊原先生は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐにクスリと笑った。
「先生…?」
「あぁ、なんでもない。で、秋山どうした?」
「あ、私、足を捻挫しちゃったみたいで………」
事情を話すと、フッと笑って私の足に湿布を貼り、サポーターで固定した。
「はい、終わり。骨に異常はないと思うけど、一応病院に行くよーに。」
「はい、ありがとうございました…。」
「あーもう一限目終わりだな。教室まで送るか」
そう言われて時計を見てみると、確かに後2、3分で授業終了のチャイムが鳴る時間だった。
そういえば…亜未どこまで行ったんだろう…
もう20分以上帰って来てないよね…

