「あ、朔哉、この子の髪セットしてくれない?」
蘭子は母に渡されたワックスやなにやらを持ったまま朔哉を見る。
朔哉はチラッと蘭子を見ると「いいっすよ」と引き受けてくれた。
「ありがとう。じゃあ終わったらまた戻ってきてちょうだいね」
「あぁ」
朔哉はうなずいて部屋を出ようとした。
「あっ……ありがとうございます……」
蘭子がお礼を言うと朔哉は扉を開け振り向いた。
「早く来なよ」
「あ……はい……」
蘭子が部屋を出る前に母が言った。
「しゃべり方。それでいいの?」
「あ……そか……
じゃあ……いってくるな」
まだ少しぎこちないが大丈夫だろう。
蘭子は朔哉の後ろを追った。
