「あっ?おう…取り合えず行ってくるわ…」

友里に後押しされたのもあるし、真紀のあの態度も気になった俺は、真紀の後を追いかける事にした…。

少しスピードを上げて走れば、歩いている真紀に追いつくのは容易い事で、俺は真紀にすぐ追いついた。

「どうしたんだ真紀?何か用があったんじゃないのか?」

俺は背中越しに真紀に声をかけた。すると真紀は、少し驚いた様子で俺に振りむき、しどろもどろしながら答える…。

「何でもないよっ?ただ帰る途中で見かけたから、様子を見に行っただけ…」

何とも歯切れの悪い口調で真紀が俺に答えた。真紀の反応に若干の違和感を感じながらも俺は、特に気にしはしなかった。

「そっか…だったら一緒に帰ろうぜ?俺もそろそろ帰ろうと思っていたところだったからさ。」

「えっ?良いの?」

なぜか俺の言葉にびっくりした様子の真紀。何でこんなにびっくりしてるんだ?

「良いのって…良いに決まってるだろ。真紀は俺の彼女なんだしさ…」

「そっか…そうだよね」

真紀は、歯切れを悪くしながらも、俺の顔を見ずにそう答えた。

俺は、真紀に校門のところで待っている様に言うと、急いでグラウンドに戻り、着替える支度を整えた。

俺が戻った時には、友里の姿はもうなく、俺とは違う方向かあ校舎に戻ったのだろう。

この時、何かの歯車がズレたんだ…。

数ヵ月後の俺は、この時の事を、そう考えてしまうのだった。