負けずぎらいな私が、真紀を春気の彼氏と認めたんだから、せめて応援をしてあげよう。

サクラは、目の前の試合と一緒に、真紀の事も精一杯応援しようと、心の中で誓った。






主審が合図をし、俺は先頭を歩きながらグラウンドの中央に向け、足を進めていた。

「相変わらずモテモテだな神崎。さっきの見てたぜ?可愛い彼女じゃねぇか」

対戦相手の先頭を歩いていた男が俺に話しかけてくる。

「相変わらずって何だよ長澤。俺はいま、はじめてモテテるんだよ」

長澤は対戦相手のキャプテンだ。左腕にはしっかりと、キャプテンマークを着けており、対戦相手の俺にちょっかいを出してきている。

「そんな事はないぞ?俺は昔からお前の事が大好きだ」

「気持ち悪い事言ってんじゃねぇよ。それよりお前がボランチって事は、やっぱ俺につくのか?」

「もちろんだ。お前を抑えられるのは、うちのチームじゃ俺ぐらいしかいないからな。しっかりと潰させてもらうさ」

俺と長澤がそんな会話をしていると、俺達はグラウンドの中央にたどり着き、主審の説明が始まる。

やっぱり俺をつぶしに来たか。長澤が相手じゃ、そう簡単には振り切れないな…。

俺がそんな事を考えていると、主審に呼ばれ俺は主審の元に集まった。コイントスで、コート決めをするのだ…。

「表」

俺は迷わず表を選択し、長澤も迷わず裏を選択する。主審が軽くコインを打ち上げ、手の甲でコインを受け止めた。

「コートはこのままで良いです」

コインは表を向いており、俺はコートを選択した。場所決めの場合、勝った方が場所を決め、負けた方からのキックオフになるのだ。

俺達は、互いに礼をした後、所定の場所に移動し、主審の笛の合図を待った。

そして甲高いホイッスルがグラウンド内に響きわたると、全国大会の椅子をかけた試合が開始された。