同い年のこの二人だが、どちらがお姉さんかは見ての通り明らかだった。

「そうだね。私ってやっぱりまだ子供なのかな…サクラちゃんみたいに、大人な風に考えれたら春貴も私の事をもっと…」

何かが気になるのか、真紀は少し声のトーンを落とし、落ち込む様な素振りを見せた。

「やっぱりそんな事考えてたんだ…真紀ってホント可愛いわね」

「ちょっサクラちゃん!?」

サクラは隣で落ち込んでいる真紀を、おもむろに抱き締めだした。

この時サクラは、他愛もない事で悩んでいる真紀の事を素直に可愛いと思った。他人は良く見えると言うが、サクラにとって真紀の悩みはむしろうらやましく感じたのだ。

それと同時にそんな真紀が無性に愛おしく感じたのだろう。行動がそれを証明していた。

「春貴はただ恋に不慣れなだけで、ちゃんと真紀の事を思っているわ。わたしには何となくそれが解るの…だから真紀の悩みはただの勘違い」

「そう…かな?」

「そうよ。だから変な心配してないで応援しましょ?せっかく真紀のダーリンの格好良い姿が見られるんだから」

「…うん」

ホントにこの子は…何でこんなに可愛いのかしら。

ほんの些細な言葉で、表情を七色に変える真紀を見てサクラは、そんな事を考えてしまう。ついこの前、一人の男をめぐって争っていた自分が馬鹿らしく思えるぐらいに…。

水面に広がる波紋の様に柔らかい真紀の表情。頬を染める赤い色は、人工的なチークの色とは違う、温かい人のぬくもりを感じさせる。

「完全に私の負けね…真紀には勝てる気がしないわ」

「うんっ?私がなに??」

「何でもないわ。そろそろ始るわよ…」