振り返るとそこには肩で息をしている彼がいた


「えっ…」

今まで彼の事を考えていていきなり彼が現れたので
正直びっくりしてた


「どうしたの?」
私が訪ねると

彼は少し考えて
「きみが見えたから」
と茶化すように笑った


「えっ…?」
考えてもいなかった彼のことばにとまどう


彼はそんな私におかまいなく横に座る


少し距離の空いた私と彼の間に冷たい風が吹き抜けた

少し沈黙が流れる


「変な人ね」
先に口を開いたのは私だった


「え?」
彼は不思議そうに私を見ている

「なんで私が見えたからって屋上に来たの?」
私が訪ねると


「別に…また自殺考えてたら困るじゃん?」

彼は笑いながら言った


「私最初から自殺なんて考えてないよ。あなたが勝手に勘違いしたんでしょ?」

「うん…まぁね」
かれは頭をかいて笑っている


「…わかるよ。」
無意識にでた言葉だった


「ん?」
また彼は不思議そうに私を見ている


「あのとき残された人間の気持ちがわかんのかっていったでしょう?」


「あぁ…うん…」


「私がいなくなっても…何もかわらない。その時は皆騒ぐけど数日もすればそれが当たり前になってどんどん記憶から消えていく。誰も泣かないし。私一人が死んだってなにもかわらない」