「…自殺なんてしませんよっ」彼女はそう言って苦笑いした


冷静に考えればわかったはずなのに
あまりにも記憶が鮮明にフラッシュバックして
考える余裕すら与えられず行動していた


―あの風景が頭をよぎるだけで余裕がなくなってしまうんだ


「あの…」


「ごめん!!まぢ勘違い…やべっまぢはずい…」

「そぉじゃなくて…手…」


「手?」
そう言って彼女をみると視線は彼女の手を握ったままの俺の手をみていた


「あっ…ごめんっ!!」
無意識ににぎっていた手をぱっとはなした


「なんか新しい手口のナンパかと思った」
そう言って彼女は静かに笑った


「まぢ…ごめん…ほんとわりぃ…」


多分今俺の顔は真っ赤だろう
顔があつい


「ねぇ…」

彼女は俺の顔を覗きこみながら不思議そうに尋ねる


「どうして泣いてるの…?」俺の顔を覗きこんで不思議そうな顔をしている


俺が何も答えずにいると
彼女は自分が着ていたカーディガンの袖で俺の涙をふいた


自分では気づかない位自然に涙はまだ俺の頬を流れていたみたいだ


「子供みたい」
そう言って彼女はわらったけど…その笑顔はすごく悲しくみえる