プライベート・スカイ

あたしは電話を切ってまた家へと歩き出した。

青山さんも初めての彼女ってわけじゃないと思うのになー

あ、彼女いたんだよね。今まで彼女とどう接してきたんだろ?

男はさ、もっと態度で示さなきゃ気持ちなんて伝わらないよね。

理由もわからずほっとかれた彼女の気持ちを考えてみろっての~

想うだけじゃダメ。
態度と…やっぱ言葉でも表現しなきゃ。

…それを考えると、お兄ちゃんってあたしのツボをついていたなぁ。

S彼だから。

愛情表現が露骨だったのが嬉しかった。
必要とされているのが嬉しかった。

…会いたいよ…





家に帰ると、また眠ったままのお兄ちゃんに『ただいま』と言った。

返事はない…

何ヶ月経っても慣れない空気。
会いたいのは眠り王子のお兄ちゃんじゃない。

あたしを抱きしめてくれるお兄ちゃんだ。

でも、今日も同じ。明日もきっと同じ…




「…?!」

部屋を出ようとした時、机に置いてあったお兄ちゃんの携帯が光っていた。

眠り続けても回線はそのままにしておいた携帯。

でもアドレス帳や送受信メールはあたしの以外全て消されていたのに

───メール…誰かからメールが届いている…