プライベート・スカイ

レイナちゃんが弱い人だというのは知ってた。

隠してるたくさんのリスカの跡。

隠してるたくさんの涙の跡。

依存しなければ、誰かに守られなければ生きられない人だって知ってた。

『使わない』

と言っていても、持っていればいつか発作的に飲んでしまうかもしれない────

彼女は下を向いて黙って聞いていた。

「ねぇレイナちゃん、あたしは頼りにならないかもしれないけど…でも力になりたいって思ってるんだよ」

「うん…そうね…ありがとう…薬は捨てるわ」

「よかった。ゴメンね偉そうに」

「ううん…その…お兄さん…ずっと目を醒まさないの…?」

「あ、うん。眠ったままでいいのはお姫様だけなのにね~?でもきっと目を醒ますと思う!」

「そうなの?」

「いやー案外さぁ、寝たふりしてあたしが居ない時間起きてんのかもって思ったりするんだよね~」

「そうだったらいいのにね」

「アハハハハ」

───そんなわけないじゃん。

痩せていく身体。

確実に死に向かう大好きな人の身体。

でも笑ってごまかした。今はレイナちゃんの方が問題だから。

「ここで捨てるとマズイから…外で捨てるわね。あと透依には言わないでくれる?」