プライベート・スカイ

暗い照明の中だったけど、あたしはそれが何だか分かった。

「レイナちゃん、これって───」

「あ、やだぁ、中身バラまいちゃった」

慌てて拾い上げる手から、あたしは薬を取り上げた。

「あ…雨峰ちゃん」

「何の薬?」

「く、薬じゃないわ…サプリメントよ。返して」

そう言ってあたしの手から薬を奪い、ポーチの中に突っ込んだ。

もちろん、レイナちゃんはこれが何の薬だか知ってる。

知ってるからこそ──慌てたんだ。

「レイナちゃん、それが何なのか知ってるんでしょ?'Sweet…」

名前を言い終わる前に彼女はあたしの口を手で塞いだ。

「言っちゃダメ!!雨峰ちゃんどうして知ってるの?」

「…あたしのお兄ちゃんが…これを飲んで今も眠ったままなの」

「…!?」

「ねぇ、まだ使った事ないならやめて!絶対に危ないんだから!」

あたしの憎むべき、悪魔の薬。
だからレイナちゃんには使わせたくなかった。

「まだ…まだ使ったことないわ…」

「じゃあ捨てて!!こんなものに頼らないで!」

「雨峰ちゃん…」

「レイナちゃんには青山さんが居るし、あたしだって相談してくれれば力になるんだからね!」