プライベート・スカイ

透依はすでに眠そうだった。うとうとしながら私を強く抱く。

「好きだよ…」

そう呟いて、彼は眠ってしまった。

一定のリズムで繰り返される彼の呼吸。上下する胸に抱かれて私も安心して眠ってしまっていた────







「ブルルルル…ブルルルル…」

何かが振動する音にビックリして、私は目覚めた。

すぐにソレは私の携帯のバイブだと分かると、透依が起きないようにベットからそっと抜け出し

バッグを持ってトイレに入った。

バッグの中から携帯を取り出した時にはすでにバイブが止まっていた。

あ、メールだわ。

誰よ?こんな時間に。透依が起きなくてよかった…

心の中で文句を言いながら届いたメールを開いて、私はドキッとした。

少しだけ貧血をおこしたみたいに、血の気が引いていく。



『From:佳依
 そろそろ'SweetPain'を取りに来いよ。もうないだろ?アズマに渡そうか?』


私は震える手で、短い返信をした。

『To:佳依
また連絡します』



何もなかったように透依の横に戻り、彼に抱きついてギュッと目を瞑った。

──透依が目覚めなくて…本当によかった。

ゴメンね…