プライベート・スカイ

「…ああ、もしかして…」

透依は何かに気づいたみたいだった。
それから私の手を掴んだ。

「ちょっと外に出よう」

「えっ、なんで?中川さんと雨峰ちゃんは?」

「大丈夫だから」

引かれるままに、私は透依と外に出た。
しばらく歩いて歩道橋の上で止まる。

…ようやく二人きりになれても、私の気持ちは浮上しなかった。

むしろ後退してる。この前の契約なんて破棄しちゃおうかとも考えてる。

やっぱり無理なのよ…私の気持ちを受け止めてくれるなんて…

透依じゃダメなの…

「ゴメンな、約束してたのにこんな事になって」

ようやく透依が口を開いたけど、それとは対照的に私は別れの言葉を口にしようとしていた。

「戻らなきゃヤバいでしょ?」

「しばらく平気だよ。アマゾンが二時間くらいなら中川さんを何とかするよって言ってたし」

「いつの間に…」

「カラオケ行くって決まった時にな。チャンス作るよって言ってたから、レイナを連れ出してきたけど…まぁ分かってるだろ」

「ふぅん…」

いつの間にか雨峰ちゃんとは仲良しなのね。

私より仲良しなんじゃないの?私じゃなく雨峰ちゃんと付き合えば?


私は正直、嫉妬していた。