レイナの目に映るものは絶望の世界。
言い表せないほどの暗闇、混乱───

オレにどれほど理解できているかわからない。いや、全然わかってないのかもしれない。

ただ
『簡単に'死にたい'なんて言うのはバカだ』とは言えないのはわかってる。

「だから手首を切ったりするのか」

「わからない…スゴく不安で死にたくなる時があるの。そんな時、手首にカッターを当てると…気持ちが落ち着くのよ…

だから刃を横に引く。流れ出す血が私を綺麗にしてくれるような気がするから」

「でも…それじゃ何も解決しないだろ」

「わかってる…でも…ダメなの」

レイナはオレに抱きついてきた。
細い腕は懸命に救いを求めていた。

「ゴメンね…しばらくこうしていて」

「レイナ」

「…本当は誰でも良かったの。こうして私を抱きしめてくれるなら──私を助けてくれるなら、誰でも…」

彼女は正直に気持ちを吐き出した。

それでようやくわかった。何故オレに付き合ってと言ったのか。

この女は寂しいだけだ。

オレが好きなワケじゃない────なのに…

なんだ?この気持ち

オレだって、レイナなんか好きじゃないのに

助けてやりたいと思い始めていた…