プライベート・スカイ

何度、呼んでも彼女はオレの呼びかけに反応しなかった。

まるで心がここにない…ただレイナの肉体がそこにあるだけ。

すぐそばに、小さなビニール袋が落ちていたのが目に入った。

白い薬のようなものが二粒、入ってる。

──ドラッグか…!!


「ラリって、あの世に行こうとかお気軽な事考えてんじゃねーよ!!」

オレは頭にきて、そう怒鳴るとレイナの頬を叩いた。

そこでようやくレイナはオレの顔を見て、オレを認識した。

何か言いたそうなのを無視して、レイナを無理矢理ベットに連れて行き、手口にタオルを巻きつけた。

「気分は!?…救急車…いや、病院に行った方が早いか」

一人慌ててるオレを見て横になったレイナは残念そうに言った。

「こんな浅いキズなら死なないわよ…」

「…」

あまりにも冷静な彼女の言葉を疑いながらも、手口に巻いたタオルをはずし傷口をみると今にも血は止まりそうだった。

傷の端は血が固まりだしている。

「───慣れてるもの。どれくらい深くナイフの刃を入れれば死ねるか、どの血管を破けば死ねるか…ちゃんとわかってるのよ…」

そう言われて見たレイナの左手には


たくさんのリスカの跡が残っていた。