プライベート・スカイ

もうレイナは部屋を出ていて、清掃中かもしれないと思っていたのに
部屋のドアは閉じていた。

鍵は…開いてる。

オレはそぉっとドアを開け、中を伺うように覗き込んだ。

「レイナ…?まだ居るのか…?」






返事はない。



辺りを警戒しながら中に足を進めると、レイナの服はそのままだった。

オレが畳んで置いたまま。下着やタオルの位置もそのままだった。

だけどベットにレイナの姿はない。

居るのは間違いないんだけどな…シャワーでも浴びてるのか?

ベットに座ってレイナが出てくるのを待っていたけど、ちょっと変だ。

シャワーを使ってる音がしない。

「レイナ?!青山だけど!開けるぞ!?」

一応断りを入れて開けると、レイナはこちらに背を向け床に座りこんでいた。

「おい、アマゾンが心配してたぞ」

「…」

「…レイナ?」




座り込むレイナの太ももに、紅い液体がポタリと落ちた。

「ちょっ…お前っ」

慌ててレイナの肩を掴み、こっちを向かせる。
レイナの右手にはカッターナイフ。左手首からは、鮮やかな鮮血が流れ出していた。

「何してんだよ!!レイナ!!」

「…」

「レイナ!オレを見ろって!」