プライベート・スカイ

「あんな風に頭がイカれちゃっても、いつも透依の事ばっかだった。

知ってた?あの女、俺の事なんて忘れちゃって、顔を見ても『誰?』って聞くんだぜ!」

そう言うと佳依は、ポケットから出したビニール袋を
思い切り透依の顔めがけてを投げつけた。

透依は投げつけられ、床に落ちたビニール袋を手に取って見ていた。

「…Sweet…Pain…」

「ああ…!母さんの望み通りに、天国に逝かせてやったよ!」

透依の手にあったのは十数粒のSweetPain。

私も透依も

佳依の言葉の意味をすぐに理解した。

「これが『SweetPain』!?母さんが眠ってた寝室にこれが残ってた!
でも後でなくなっていて─────

お前が──これを母さんに渡して─────死なせ…た?」

「だって死にたがってたじゃん!早く死ねば良かったんだよ!望み通り楽に死なせてやったんだ!

親孝行だろ!」


透依は佳依の胸ぐらを掴み怒鳴った。

「ふざけんな!ふざけんな…!お前正気か?!母親だぞ?血の繋がった母親なのに!殺すなんて…!」

「俺だって息子なのに、綺麗さっぱり記憶から削除されてたんだぜ!?お前に何がわかんだよ…!」