プライベート・スカイ

「アイツが何も知らないで家が潰れるのを見ているか、俺にハメられて犯罪者になるか・どちらか選べよ」

「そんなの選べるわけないじゃない!それじゃ透依が…」

結局は佳依の思う通りに透依が苦しむ事になる。

無茶苦茶な二択をつきつけられて、どうしたらいいのかわからなくなってしまった。

「間違っても逃げたりするなよ?お前には期待してんだからさ」

期待?

利用してるだけじゃないの!

──この男を自由にさせてはおけない。

ずっと思ってた。

佳依とアズマに犯された、あの初めての夜に二人を殺せばよかったと

私、ずっと思ってた。

やっぱりそうすべきだったんだ…

「佳依」

「決まった?」

「うん」

そう返事をすると、私は佳依が握るハンドルを素早く握って

力いっぱい右に回した。




「バ、バカ…っ!」




車体は急激に右に向かい、身体は遠心力に耐えられずに左に振られた。




一緒に死のう、佳依






反対車線を走る車のフロントガラスと、私達の車に驚く運転手の男性の顔がスローモーションのようにハッキリと見えた。




一瞬で終われる。




私は目をつぶった。