プライベート・スカイ

佳依の、いつもの冗談にしか聞こえなかった。

今までそうだった。どこまで本気だかわかんない事を平然と言ってみるけど
それはノリのいい嘘だったりするから

こんな時に冗談を言う佳依が許せなかった。

「佳依が捕まりたいだなんて思うはずがないわ。だってそうでしょう?
貴方のお家が潰れかねない。あれほど欲しがっていた財産なのよ?

捕まったら全てが消えるわ」

「俺はさ、ずっと青山家を潰したいと思ってたんだよ」

「?!ど、どうして…」

「ホントはあんな家どーだっていいんだ~。会社が潰れちゃったって構わないって思ってたし」

「どういうこと?家が潰れちゃったら…透依はどうなるの?」

「さぁね。会社もクビになって路頭に迷うんじゃん!?できればホームレスくらいまで堕ちてほしいけど。

メチャメチャ不幸になってほしいなー」




…そう…か

そうなんだ。

貴方はずっと───




「──透依を憎んでたのね…?」

「今頃気づいたのか?ちょっと鈍いんじゃないの」

「だって、そんなの信じられる?私を利用して、さらに自分が犯罪者になってでも
お兄さんを苦しめようとするなんてそんなの」

「'あり得ない'って?」