プライベート・スカイ

──その後、佳依に何か返事をした記憶はない。

気づくとオレは佳依との電話を切っていて、またレイナに電話していた。

タクシーが実家に到着し、ちゃんと金を払って降りたかどうかも覚えていない。

家族は誰も居ない部屋で、オレは何度もレイナに電話をした。

疑惑を本人に確かめるのは恐怖だ。けれど確かめなきゃ心のざわめきはおさまらない。






ようやくレイナが電話に出たのは深夜の二時過ぎ頃のことだった。


『………もしもし…』

声が聞けて、一瞬ホッとした。

「レイナ、か?」

『透依…』


しばらく沈黙が続いた。何をどう聞いていいのか分からないでいると、レイナの方から言ってきた。



『…私のこと…知ってるんでしょ…警察に捜されてるって…』

「…会って聞きたいことはたくさんある。聞かなきゃならない事もできた。でも電話じゃなく直接聞きたい。

今ドコに居る?」

『…雨峰ちゃん家』

アマゾンの家か。確かにアイツのトコなら行きそうだな。

「出て来れないか?二人で話したいから」

『…どこに行けばいいの?私…』

「とりあえず近くまで迎えに行くよ。それからホテルにでも入ろう」

『うん、分かった』