プライベート・スカイ

「ダメだ!お前を置いて行けない!」

「あたしココに居なきゃいけないの!!この家から離れたくないの!」

だってお兄ちゃんが眠ってるのよ!!
あんな状態のお兄ちゃんを独りになんかできない!

第一、お金は!?

あたしが働かなきゃ、お兄ちゃんの呼吸は止まってしまう!

「雨峰!ここに居る必要なんかないのが、まだわかんないのか?!」

アズマはあたしの両腕を掴んで、あたしの顔を見ながら怒鳴っていた。

アズマの言いたいことなんて、わかんないよ!

「アズマこそ何言ってんの!?あたしが離れられない理由を知ってるくせに!お兄ちゃんを捨てろって言うの?!」

「いい加減にしろ!いつまでそんな事言ってんだよ!
ちゃんと現実を見るんだ!!」

「ちょっ…ドコ行くの!?」

アズマは勝手にお兄ちゃんの部屋のドアを開けようとした。

「止めて!!開けないで!!止めてアズマ!!」

止めてもあたしは力で負けた。アズマはドアを開けて叫んだ。






「見るんだ雨峰!!こんなのは穂貴じゃない!!
穂貴はもう死んでるんだ!

お前は、いつまでクマのぬいぐるみに呼吸器を繋いでるんだよ!!」

「言わないで!言わないでよ…!!!!」