プライベート・スカイ

お湯がいっぱいになって、その湯気で浴室が白く煙る。

霧が立ちこめているような浴室。いくつかのキャンドルに火を灯し電気を消した。

あたしのお気に入りの場所。

用意ができると、あたしはレイナちゃんを呼んだ。

「お風呂入れるから、ゆっくり入ってきて。タオルも用意しといたからね」

レイナちゃんは、あたしに何か言いたげな顔を見せたけど、すぐに目線をそらした。

「うん…ありがと。お風呂借りるね」

レイナちゃんが浴室に入ると、あたしは心配で
浴室から聞こえてくる音に集中した。

刃物なんかは置いてない。まさか自殺しないとは思うけど、彼女を独りしてる時間は怖かった。

ちょっと長めの入浴を終えてレイナちゃんが出てきた時、あたしは正直ホッとした。

「長かったね~のぼせちゃったかと思った」

「うん、なんか気持ち良くて。いつもあんなお風呂なの?」

「キャンドルのこと?あれはたまに、ね。暗いとドコ洗ってるかわかんないからさ~、落ち着きたい時だけにするの」

「ふぅん。私もやってみようかな」

「いいよ~!オススメ!」

あたしは努めて明るく振る舞った。

だって、思ったの。

誰かが彼女を守らなきゃって。