プライベート・スカイ

素直な気持ちは一つも言えない。
──まだ間に合う。

まだ透依は病院の中を歩いてる。
走っていけば、彼の手を掴めるのに

足は一歩も動かなかった。






アズマに頼っても、きっとこんな私はさっさと捨てられる。

佳依なら、多分私を奴隷にする。きっと私の苦しみなんか理解する気もない。

透依なら…


透依も、もう嫌になってるわね。こんな私。心の中の全てをさらけ出し、全ての感情を彼に委ねたら

誰だって耐えきれなくて逃げ出すわ。

もう逃げる準備を始めたかもしれない。





「やっぱり私は独りなのね…お母さん…」

自殺した母親。
死にたいと思う心は遺伝だろうか。





翌日
自主的に退院する為、窓口で支払いを済ませ荷物を持って病院を出た。

玄関の外から振り返り、自分が入院していた病院を見て思い出した。

ああ…
ここって『成田美夜』の入院してた病院だ。

まだ入院してるのかしらね?

私は病院に戻って、彼女の病室を探した。

前と同じ病室に、彼女の名前があるのを見つけ、ドアをノックしようとした時

看護師に声をかけられた。

「あら?織江さん、今日退院じゃなかった?知り合いでもいるの?」