プライベート・スカイ

アズマは悩みもせず、あっさりと答えた。

考えるまでもないって顔。

「今あるもの全てを捨てて新しい人生を始めたいとも思わないしな。辞めたいならお前一人で辞めろよ。

今言ってたことは佳依に黙っててやるから」

それだけを言い残して、アズマは病室を出ていった。

「…っ…」

不安で涙が止まらない。

私が佳依を殺せるはずもない。体力も力も勝てないし。

全てを捨てられる?

死ぬことはできても、生きて全てを失う勇気はどこにもなかった。

───何にも状況は変わらない。

終わらせる事もできなかった。だけど何にもできないの。

ただ、泣きわめくだけ。苦しんで苦しんで苦しんで…

壊れていく自分がわかる。

自殺が未遂に終わった事がかなり影響して、私の精神はますます不安定になっていった。

不眠。過呼吸。パニック…脅迫観念や対人恐怖症も。
怖い…何もかもが怖い

薬漬けの入院生活。

透依からのメールは全て無視し、電話にも出なかった。

やがて透依は雨峰ちゃんから、私が入院してる事を知って
心配してメールの数は増えていった。

もういいよ
だって新しい彼女が出来たんでしょ?

それを彼に確かめる勇気はなかった。