プライベート・スカイ

「もうイヤ!もう嫌っ!!!!」

──これは悪い夢だ

私は裸のままキッチンへ行き、夢中で包丁を掴んだ。

「死んで!私の前から居なくなってよ!」

「無理だろ。手も足も震えてるぜ?
まだSweetPainが抜けてないし、お前みたいな非力なヤツが人間なんか殺せるかよ」

言われて自分の身体を見た。今にも包丁を落としそうなくらい手が震えてる。

薬のせいだけじゃない。こんな事をする佳依が怖くてたまらない。

佳依が近づいてきても、私は身動き一つできなかった。

彼は私に上着をかけて、普段と同じようにキスをした。

「俺の子供。できるといいなー。じゃ、また来るけど
あんまSweetPain飲んでイッちゃわないようにな」

佳依が部屋を出て足音が遠ざかると、私はホッとして涙が出てきた。

「嫌だ…こんなのもうたくさんだよ…もう死にたいよ…」

誰も私を助けてくれないの。

透依は佳依の策略で私を裏切り、アズマも雨峰ちゃんを選んだ。

誰にも頼れない。
諦めて佳依と付き合うのなんて無理。
だって、透依の弟なんだよ…!



久しぶりに
私はナイフを左手首に当てた。

いつもより深く

ナイフは皮膚に食い込んでいった…