プライベート・スカイ

「それでもなんか失礼じゃない?」

「…ゴメンね。でもこの辺でも流行ってるんじゃない?SweetPainっていうドラッグ。

あたしはこれ以上広めたくなくて…」

慌てて訳を話したけど、彼女達の警戒心は解けなかった。

「──私達はドラッグなんてやらないし、そのナントカってのも知らない。
もう話すことはないから帰る」

「え、あの!」

彼女達はあたしを冷たい目で睨むように見て、去っていった。

あたしは思いきりため息をついた。

ハ────…
失敗した…

そりゃ怒るよね…自分の言葉とか、振り返ってみてメチャメチャ反省したし落ち込んだ。

……でも!
次は上手くいくかもしれないし!

気分を切り替えて、その後も何人かの学生に声をかけたけど

あえなく撃沈。

反応は最初の彼女達と同じようだった。

それでも前向きに考えて、あたしは数日粘った。相手に嫌な顔されても、ヒドイ事言われても頑張った。

だけど…頑張った成果は一つも得られなかった。

あたしは疲れて、ガードレールに寄りかかって歩く人達を眺めた。

絶対、何か知ってそうな人もいるのに

それでも蔓延するドラッグを止められない。あたしって…無力なんだな…