プライベート・スカイ

暴れるあたしをお構いなしに、部屋から無理矢理連れ出すアズマ。

力では勝てない。

でも、殴られようがどうしようが、構わなかったの。

彼女を止めたいって思った。何故かわからないけど…

黙って聞いてただけの彼女。怒るわけでもなく、それ以上の反論もなく。

嫌がるあたしがアズマと部屋の外に出た時

ドアが閉まる瞬間、寂しそうに笑っていたのが見えた。

それが何を意味していたのかは分からない。

「車に乗るまで喋るな。目立つ行動は避けろ。…言ってる意味がわかるな?」

エレベーターの中で、本気で怒ったアズマが囁いた言葉。

言いたい事は言えず、半ばアズマに引きずられるようにあたしは車に乗せられた。

ようやく走り出した車の中でも、あたしは何も言えなかった。

「…バカが。泣いてんじゃねーよ。ますますブスになんぞ」

「…ウルサイ」

「他人には干渉するな。何故SweetPainを使うのか理由も聞くな。分かったな?」

アズマが言いたい事も分かる。

でも悔しいんだ。








一週間後

彼女が現職の政治家とW不倫の末

違う高級ホテルで『彼』と心中したと世間を騒がせた。

彼女は総理大臣の妻だった──。