プライベート・スカイ

彼女はニコッと笑い、アズマに向かって聞いた。

「貴方の彼女さん?」

「やだなぁ、違いますよ。僕はこんな色の黒い子とは付き合いませんって」

はぁっ!?失礼なっ!黒くて悪かったなぁー!

アンタの彼女なんて、こっちからお断りだよっ!

…と言いたかったけど、グッと堪えた。だってお客が目の前にいるから。

だけど、彼女の方があたしの味方になってくれた。

「あらぁ、可愛い子じゃないの。貴方が連れて来たのだから、大事な子なんでしょう?」

彼女には勝てないと思ったのか、苦笑いしながらアズマは答えた。

「…違いますよ。新しい'仲間'なんです」

「ふぅん。ねぇ、彼女?ケーキ食べて行きなさいよ」

「えっ、あの…」

急に話しを振られてあたしはビックリした。


あれは

有名高級菓子店のケーキだった…うわ…食べたいよぉ~!!

けど…

アズマをチラリと見ると、'ダメだ'って顔をした。

「用も済んだので僕らは帰りますよ。長居がマズイ事くらい、貴方も分かってるはずでしょう」

警戒心の強いアズマらしい答え。だけど彼女は首を縦には振らなかった。

「今回は平気よ。ねぇ、食べていってほしいの。座って?お茶入れるわ」