プライベート・スカイ

アズマが部屋に入る。あたしも続いて一緒にお邪魔した。

あたし、ちょっと邪魔なんじゃないかなぁ?って思うけど外で待ってるのも変に思われるしね。

「ご注文の花束と、ケーキです」

「ありがとう。そこのテーブルに置いてくださる?
これが代金ね」

女性はきちんと揃えられた数十枚の札束をアズマに手渡した。

…それが花束とケーキ代?普通では考えられない金額だった。

だけどアズマはそれを当たり前のように受け取り、彼女の前で一応お札を数えた。

「…確かに。では、貴女が一番欲しがっていた品です」

「ありがとう。助かるわ」

アズマは小さなビニール袋に入れられた数十錠のSweetPainを彼女に手渡した。

彼女も、慣れた感じで当たり前のようにそれをポーチに入れていた。

あたしは…

その一部始終を見ていただけ。

思っていたよりも簡単に、ドラッグは売買されていた。

彼女達の中に罪悪感なんてものは感じられない。

こんな…
こんなに簡単なの?

こうやってアズマは海の家で、あたしに気づかれずにドラッグを売りさばいたの?

あたしが一番、罪悪感を感じている。
嫌な気分だ…

ふと、あたしは彼女と目があった。