プライベート・スカイ

目的地に行く前に、途中でアズマは車を止めて何処かに行った。

しばらくして戻ってきたと思ったら、大きな花束とケーキらしき箱を持って戻ってきた。

「なにそれ?」

「お客への配達。これも頼まれたんだ」

「へぇ…アズマって何でも屋じゃん!」

「手ぶらじゃ行けない場所だからな。配達って事にしておかないとお互いマズイから…これは客側の配慮だな」

「そうなんだ…」

アズマはあたしにケーキと花束を持たせて、また車を走らせた。

そうして着いたのは大きな高級ホテル。

確かに、あたしみたいなのがウロウロしてたら目立つかも?って思った。

エレベーターを使って、最上階まで登る。

降りて廊下に出ると、部屋数は少ない。その代わりに部屋のドアは大きかった。

「…もしかしてスイートルームってヤツ?」

「そーだよ。初めて?」

「当たり前じゃん」

「まぁそうだよな」

異常に静かな廊下が居心地悪い。
アズマが呼び鈴を鳴らすと、中からとても綺麗な女の人が出てきた。

さすがにアズマは顔見知りらしい。ニコッと営業スマイルで挨拶をした。

「お届けものです」

「待ってたわ。中へ運んでくださる?」

「はい、失礼します」