プライベート・スカイ

「どんなものでもね、気持ちがこもっていればいいのよ」

「そーかな?」

「じゃあ例えばね。
透依のバースデーに、『高級フランス料理をごちそうする』のと、『私の下手くそな手料理をごちそうする』のとでは

どっちがいい?やっぱ高級フランス料理じゃないと、私の愛情は少ないってなる?」

「…ならない。手料理の方が嬉しい」

「でもスゴい下手なのよ?マズイの!それでも愛情感じる?」

「どんなのでも、レイナが作ってくれたなら嬉しいよ」

「ほら、おんなじ事よ」

透依は妙に納得していた。ちょっと安心もしたみたいだった。

「なら、いいか。ところで…レイナは料理下手なの?」

「うん、全然ダメ」

透依は笑いながら私の肩を抱いた。

「料理教室に通わせるからな!」

私達は笑いながら、家へと戻ってきた。

透依がリビングの小さな細長い窓のカーテンを開ける。

「なにしてるの?」

「ほら、こうすると十字架っぽいじゃん?」

言われて床を見ると、月明かりが部屋に差し込み窓の格子の影が床に十字架を映し出していた。

「なんか結婚式っぽいじゃん?月が神様でさ、その前で二人で誓いをたてるんだ」

そして彼は指輪を取り出した。