プライベート・スカイ

「…は…?」

突然の言葉に私の手は止まった。

聞き間違い…?今SweetPainって言ってた気がしたんだけど?

「え?あの…」

「貴女でしょう?'販売員'は」

確信した口調でオバ様は言った。

あ、そうか。目印の手帳…たまたま相席になったのではなく、自然とここに来られるようにしたのね。

「…貴女でしたか。すいません、気づかなくて────」

「いいのよ。こんな所を指定するのが悪いんですものね」

「じゃ、あの…」

「とりあえず食事しましょうか」

慣れた感じのオバ様は、受け渡しの手順も分かっているようだ。私は彼女に従う事にした。

オバ様の分も食事が運ばれてきて、二人で黙って食事をしていた。

世間話をするのも止めよう…
相手の事を知る必要はないのだから。

食事が終わって、コーヒーを飲んでいる最中で彼女はバッグを手にした。

「お手洗いに行ってくるわ」

「…'ドコ'ですか?」

「'右の奥'よ。小さな窓があるわ」

オバ様が席を立ち、数分後に戻ってくると
今度は私が立ち上がった。

「私も行ってきます」

「どうぞ。今は誰も居ないわ」

受け渡し場所は
トイレって事ね。