プライベート・スカイ

特に相席の客に興味もなく、私は手帳に目を落とした。

「こちらの席へどうぞ」

案内されてきた相席の客は、席につく前に私に挨拶してきた。

「すみません、お邪魔しますね」

「あ、はい」

チラリと相手を見ると、落ち着いた服装にウェーブパーマのかかった長い髪。
メイクも上手だし、全体的に上品そうに見える…多分50歳前後の『オバ様』だった。

特に話す必要もないと思っていたのに、オバ様はやたらと話しかけてくる。

「何がいいかしら?美味しいと友達から聞いて来たのよ。オススメってあるのかしら?」

「私も初めてなんで」

無視するのも嫌だし、適度に返事をしていると
店員が注文したものを運んできた。

「お待たせしました。Aランチです」

「あら、美味しそうだわ!私もそれにしようかしら?!同じものお願いします」

私の注文した料理を見るなり、彼女は店員にそう頼んでいた。

はぁ…
なんか面倒。

食べ始めるのは気がひけるけど、冷めると悲しいし

一言断ってフォークに手を伸ばした。

「お先にいただきます」

「どうぞどうぞ、冷めちゃうわよ!私のもすぐに来るわ。ついでに私、SweetPainもいただきたいのだけど?」