プライベート・スカイ

目的の店は表通りから一本横道に入っただけの、案外人通りの多い道沿いだった。

そして苦もなくすぐにその店は見つかった。

【ファニー】

…カフェじゃないの。

想像してたのは風俗系だと思ってたのに。これじゃホントに普通の女性ばかりの店じゃない。

間違えじゃないよね?

もらった地図を見ても場所は合ってるらしい。私は中に入り、店の奥のテーブルに案内された。

店内はわりとお客が入っていて、満席に近い状態。周りを見回して'お客'がいるか確認してみたけど

…多分いない。よく分かんないけど。

お腹もすいちゃったし、ランチを注文してバッグの中から赤い手帳を取り出した。

これが目印。

料理が運ばれてくる前に、店員が私の前に立った。

「すみません、こちら相席でもよろしいですか?」

「え?」

そう言われて店内を見回すと…あれっ?もう満席なんだ。

こんなに周りに客が居るんじゃ、薬を渡すのはちょっと無理ね。

ゆっくり食事して、客がすくのを待った方がいいみたい…

「私はいいですけど、向こうの方は平気なんですか?」

「いいですか?あちらのお客様にもお話してありますから」

「じゃ、どうぞ」