プライベート・スカイ

佳依は私をジッと見ると、立ち上がって勝手に冷蔵庫からビールを出して
一口飲んだ。

「あぁ、アズマとは別れたんだっけ?」

「…付き合ってたかどうかも分かんないわよ。アズマって…誰も好きじゃないみたいなんだもの」

「ちょっとドライだしな。別にいいけどさ、いくら必要なんだ?」

「と、とりあえず一千万くらい…」

「それくらいなら俺が貸してやるぜ?」

それは困る。
この人に借りを作りたくないのに、お金なんか借りたら…ますます離れられなくなる。

「自分で稼ぎたいの」

「あ、そ。まぁいいや。分かった、別のシマを紹介するからそこで薬を売れ。あと報酬な」

「う、うん」

「90%お前の報酬でいいよ」

「ウソ…ホントに?」

予想外の回答に私は驚いた。今までの倍以上だったから。

「ウソは言わない。そのかわり、ちょっとヤバい奴らの相手もしろよ?」

「それくらい…分かってはいるわ」

「なら、いい。明日メールで指定する」

そう言うと佳依は強引にキスしてきた。

「ん──っ…なに、いきなり…」

「いいじゃん、久しぶりだし、男居ないんだろ?俺とするのは初めてじゃないんだし」

「そ、そうだけど…」