プライベート・スカイ

「そんな…」

一千万…そんなお金は当然ない。

「やっぱり裁判にしましょうか。その方が貴女の払える額になるわよ」

だけど訴えられて、色々調べられたりするんでしょ?

この人や透依の家なら簡単に手に入る金額だから、確かにお金目的ではないと思う。

単に彼女は私に償えと言っているのね。

価値…
透依の価値。

一千万で手に入るなら、彼を手に入れたい。

今まで以上に薬を売れば…佳依にも言って、もっと報酬を上げてもらって

仕事も頑張れば払えない額ではないわ。
不可能ではない。

──そうまでして、私はずっとSweetPainをバラまくの?

辞めたい。でも透依の為だから。

「ねぇ、どうするの」

彼女は私の心を見透かすように問いかけた。

迷っていてもしょうがないじゃないの!私にはもう、一つしか選択出来ないんだから!

「──払うわ。でも、さすがにそんな大金一度には払えないから」

「当然よね。貴女みたいな普通のお家の子じゃ、まず無理って事は分かってるわ。
これ、私の銀行の口座」

あらかじめ用意されていたメモを渡されると私は一言告げて病室を出た。

「透依を貴女の元へなんか返したりしないから」