プライベート・スカイ

ダメだって、頭の中で警告音が鳴り響いている。

だけど消したい。彼女の存在を。

バッグの中に手を入れ、SweetPainの入ったポーチをギュッと握りしめた。

アレを大量に飲んだ客達がどんな運命を辿るのか…どうなるのかよく分かっているじゃないの!

ダメよ!

沈黙は何も事態を発展させない。私が一人葛藤してると彼女はため息混じりに言った。

「…貴女を訴えたところで、透依が戻ってくるわけじゃないのは分かってるのよ。
もう無理だとは思ってる…」

「じゃあ…!」

「だから慰謝料って事なのよね…透依がそうしているし。それしかないのかなって思ってる」

「…慰謝料で、透依から離れてもらえるんですか?」

「多分ね。…ケジメにはなるわ。貴女達の。私の気が済むわけではないけど」

ちょっとだけホッとした。
話し合いは無理だし、お互い納得できる結果にならないから
最後はお金で。

私もスッキリはしないけど、その方がいいと思った。

「慰謝料って、どれくらい払えばいいんですか?」

「一千万よ」

「はっ!?いっ、一千万?!そんな金額払えなんて…」

「だから裁判の方が安いと思って言ったのに」