プライベート・スカイ

昨夜から、ずっと泣いていたのが分かる。

彼女はオレにしがみつき子供みたいに泣いた。離したくないと、腕に力が入っていく。

「…眠れないの。お腹もすかないし、力も入らない…透依が他の人と抱き合ってるなんて想像したくないよ…」

「だって──もう仕方ないじゃないか。
美夜はこんなサイテーなオレなんて早く忘れて、次のもっと大事にしてくれそうな男を探すべきだよ」

「ヒドイ事ばかり言うのね…私の気持ちなんてお構いなし。自分が他に女できたから平気でそんな事言えるのよ」

「別に見下して言ってるわけじゃない」

「少なくとも、私より幸せだわ…でもね、絶対にそんなの上手くいかないわよ」

「ダメになるか上手くいくかは…美夜には関係ないと思う。絶対なんてこの世にはないと思うし…」

美夜はオレの胸に顔を埋めて、叫んだ。

「そんな事ないわ!今だけの感情よ!絶対に後悔するんだから──だから私、絶対に別れない!認めないわ!」

説得は失敗だった…

その時、改めて思った。

他人の気持ちなんて、簡単に思い通りに動かせないってこと。

もっと簡単に美夜は受け入れると…見下していたんだ、オレ。

どうしよう…