プライベート・スカイ

納得できないまでも、話し合うことは美夜にとって重要だったらしい。

しばらく話すうちに落ち着いてきたかに見えた彼女。

一歩前進かな?って思った。元々は大人の落ち着いた女なんだし、それほど引きずらないだろう。

朝が近くなってきて、オレは帰ることを告げた。

「仕事あるし、もう帰るよ。大丈夫だよな?」

「そう…ね。仕事は休めないわね。分かった、行ってらっしゃい」

疲れとショックで元気のない美夜。美人には変わりないけど、いつものようなキラメキはない。

オレのせい、だな。

「じゃ…サヨナラ」

彼女とは別れるんだ。

変な感じだけど、もう美夜とは別々の方向に向かってお互い歩き出すのだから。

「悪かったな、美夜。サヨナラ」

彼女に背を向け、もう一度言うと、美夜は答えた。

「じゃ、またね」





オレは何も答えずに美夜の部屋を出た。

振り返る勇気も強さも持ち合わせていなかった。

結局レイナのトコには行けなかったし、メールすらできなかった。

レイナにも悪い事をしたけど…これもレイナの為なんだから仕方ない事だよな?

自分に言い訳をしながらレイナにメールを打ち、オレは仕事に向かった。