「黒い箱、だけじゃなくてあの怪しいって言ってた家来と、船長もいない。」



犬がゆっくりと、もう一度皆を見渡しながら呟きます。




「おれらはどうすればいいの?ピョートル=チャイコフスキー=ミッシェルボーゲン。」



「覚えててくれたんですねえぇぇぇ…。」



そう嬉し涙を流すミッシェルをよそに兄は口を開きました。



「とりあえず、3つに分かれねえか?」



「3つ?」



「ミッシェルと、黒い箱を探すチーム、船長を探すチーム、あと家来を探すチーム。」



得意気に話す兄にぴしゃりと桃子が言葉の鞭。



「私は反対ね。これ以上話がごちゃごちゃするのはごめんだわ。それに、何より作者が困るじゃない。」



「……作者の心配してんなよ。」



呆れ顔にも気付かず桃子は自分で勝手に仕切りはじめます。



「黒い箱を探すのを優先させましょ。何かわかるかもしれないし。」



「…そう、ですね。」



唯一乗り気じゃないミッシェルに桃子は疑問を抱きます。



「どうしたのよ。」



「黒い箱の気が、1ミクロンも感じないんです。」



これは新たな問題なのでしょうか。