その頃まだ海の中に残る者の姿が。 ―ゴポゴポゴポ… 肩から提げる鞄の中の四角い膨らみが、波によって揺れていました。 それを海の中で動かせているのは、紛れもなく家来でした。 その時、 「!」 家来の目の前にカメが現れました。 「ガッボボ、ブバブ!」 「“さっさとどけよ”だって」 「残念ながら、それは出来ないんだなぁ」 「特に口の悪い奴はなぁ」 ジロリとカメは家来を見ました。 家来は身構えました。 複数の、数えきれない数のカメに包囲されていたからです。