「よっと。じゃあ行くか。」



船長は船を止め、先に降りた2人の元へ向かいます。



「あんたが先頭切ってくれよ。俺とこいつじゃ今度いつこの島から出られるか分かんねぇ。」



そう言って船長は、隣にいる殿様を指差しました。



「…最もだ。」



殿様は一呼吸おいて男を見ます。



「…分かりました。」



男はその視線に何を感じたか、何も言わずに歩き出しました。



「それにしても本当に木ばっかだな…。この中から俺の息子たちを探せるっていうのかい?お前さんは。」



「大体の目星はついてるって言ったじゃないですか。」



男は淡々と船長の質問に答えます。



「なあ?お前ってこの島詳しいのか?」



その質問に殿様はぱっと顔を上げます。



自分も聞きたかったこと…



殿様は動揺していないように振る舞おうと足に力を入れました。



「そんなに質問ばかりしないで下さいよ。」



「(…軽く流された…?)」



殿様は考え込みますが男はお構いなしです。



「もうすぐですよ。」



やっぱりこの男、タダ者ではなさそうです。