「出て来れねぇってのか、この腰抜けが!下手に出てやれば―…あ?」



静かな島に裏返ったお頭の声が響き渡りました。



それはそのまま木陰をじっと見つめてきます。



そしてお頭は見つめたまま黙り込んでしまいました。



その他の鬼達も異変に気付き木陰を見つめ、ハッとした表情をし黙ります。



「…何でしょう、こちらを見つめて」



「気味悪…」



―ガサガサッ



「!?」



「…なっ…しまっ…!」



桃子達が気付いた頃にはもう既に遅く、3人の周りは村人によって完全に包囲されていました。



大勢の村人に囲まれ身動きがとれません。



「…くッ」



「何よ、あんた達!グルだったの!?」



こんな状況でも、おばあさんは謎の構えを忘れません。



「グルって訳じゃないけど…」



「見ていて辛くなった…」



そんな事を村人達はブツブツと呟いています。



「―あんたの言ってた通り、本当に村人ってお人好しなのね…」



「だから言ったでしょう」