しばらく、呼吸をするのも苦しいような沈黙が続きました。



『あ…』



その沈黙を破ったのは少年でした。



『あの…教えてくださって…ありがとうございました…っ!両親が…両親の行方が分かっただけで…そのっ…』



『すまない…』



『どうして謝るんですか…あなたは何も悪くないじゃないですか!悪いのは……悪いのは鬼ですよ…っ!』



その瞬間、少年の目からは大粒の涙がぽろぽろと零れ落ちました。



『どうして…っ…鬼なんかに…殺されなくちゃ…』



気丈に振る舞ってはいても、まだ二十にもならない少年です。



少年はそれから、それまで以上に口数が少なくなりました。



どこか無理に大人になろうとしているような、そんな様子に、周りの者たちはいつも胸を痛めるのでした。