『…は!』



夫は突然神棚に供えてあった巨大な桃に目をやりました。



『く…っ…こんな桃……っ!!』



そして辛そうに唇を噛むと、



『…ふんっっ!!!』



勢い良くその桃を持ち上げました。



『くそ…こんなっ…こんな桃…っ…!!』



桃を担いだまま走りだした夫の向かう方角には…



川がありました。



『…っだぁぁぁあ!』



夫は思いっきり叫ぶと、



―ばっしゃーん!!!



桃を川の中に投げ込んでしまいました。



そして、



『わぁぁぁぁーっ!』



人目も気にせず大声で泣き喚きました。