「…っえぇぇぇっっ!?」



その場にいた全員が男の言葉に驚愕の叫び声を上げるのと同時に、



「…っでも俺そいつの顔も知らないんだけど…何で…??」



男は自分で自分の発した言葉に驚いたように目を見開きました。



「どういうことだ…?」



猿が困惑の表情で腕を組むと、



「何か…記憶の奥底に封じ込めてるものがあるんじゃねぇか…??」



犬が眉間に皺を寄せて呟きました。



−その瞬間。



「……痛っ!!」



男は急に頭を押さえてその場にしゃがみこんでしまいました。



「お…っ…お兄ちゃん!?」



桃子はそんな男に泣きそうな表情を浮かべて駆け寄ります。



「だっ…大丈夫ですかっっ!?」



「どうしたんじゃ!!」



突然のことに動くこともできず立ちすくむ鬼とおじいさんの後ろで、



「若……っ…」



もう一人の男が小さく声を漏らしました。