一筋縄では逝かせない★




皆がバタバタという音の方を恐る恐る見てみると、



「教えてよ!…教えなさいよ!」



桃子が必死な顔で近づいてきました。



そして肩を上下させながら男の肩を掴み、



「教えて、話を聞かせて…」



と言いました。



男は目を疑いましたがなんとか、



「…わかった」



と頷きました。



男が何から話そうかと考えていると、おじいさんが何の空気を察知したのか、



「…よし、わしから話そう」



と横から割り込んできました。



「―あれは60年位前の事だったかのぉ。ふふっ、あの頃はわしもばあさんもハジケとったわい…」



と感慨深く思い出を語り始めました。



時には涙し、時には脱線しながらおじいさんは独り芝居を演じきりました。



前に話した内容と同じなのに何故か3時間もかかりました。


その間皆は静かに聞いてあげました。