おじいさんは誰もいなくなった川辺に1人たたずみ、川から引き上げた桃を見つめました。 「……」 おじいさんの脳裏に、おばあさんの優しい笑顔が浮かびました。 「…!」 今更ながらじぶんのやらかした事の重大さと、自分にとってのおばあさんという存在の大きさに気付いたおじいさんは、恐る恐る滝壺を覗き込みました。 「…あぁ…。」 −そこには、誰の姿も見えませんでした。