「羽美」 美咲が声をかけてきた。 出来るだけの笑顔を作る。 「何?」 「渡したい物があるんだ。屋上行かない?」 美咲がいつもの明るい口調で話し掛けてきた。 「いいよ。これ纏めてからでいい?」 「うんっ」 机の中を片付け始める。 私はこの時、美咲の表情に気付いていなかった。