「じゃあ、俺戻る」 リョウが背中を向けて歩きだす。 行かないで… ずっと一緒にいたいよ… 別れたくないよ… 春風が髪を乱れさせ視界を塞いだ。 髪を整えて視界が開けると、リョウの姿はもうなかった。 「泣きたい…」 また古田山の桜を見る。 散る桜が涙で見えなかった。